熱処理Vol.6〈質量効果とは〉

熱処理Vol.6〈質量効果とは〉

うーーーーん

どうしたの?

 

さっきお客様から、

S45Cの鋼材で45~50HRCの指定硬度がでるか

聞かれたけど答えられなくて。

サイズは聞いたかな?

サイズも関係あるの?

とても重要だよ!

サイズによって出る硬度が変わるから

大きい鋼材に通常の焼入れをしても

その硬度が出ないこともあるんだ。

そうなんだ!勉強しないと…

じゃあこの機会に、

【質量効果】について説明しようか!

【質量効果】?初めて聞いた!

鋼の焼入れはどういう方法でするんだっけ?

熱した鋼を一気に冷やして硬くするんだよね!

その通り!急冷することが大切なんだ。

冷却が早ければ早いほど焼きが良く入るんだよ。

じゃあ大きいものと小さいものどっちが冷えやすいかな?

小さいほうか!だから硬度も変わるんだ…

小さいと冷えやすいから焼きも良く入るし

表面と内部の硬度差もあまり生じないけど、

大きいと冷えにくく、表面の硬度も

小さいものより低くなって内部との差が大きくなるんだ。

 

じゃあ大きい鋼材はどうしたらいいの?

たとえばだけど、

焼きが入りやすい鋼材に変えるといいよ。

焼きが入りやすい鋼材って?

例えば、今回のS45Cとよく比べられるものだと

SCM435という鋼材だと焼きが入りやすいんだ。

 

 

 

何が違うの?

SCM435S45Cよりも様々な元素を含むことで

焼きが入りやすく調整されているんだよ。

大きさ関係なくSCM435を使えばいいわけじゃないんだ?

製品によって焼入れしたい部分も求める硬度も違うから

一概に、SCM435がどんな製品に合うわけじゃないし

万能な鋼材なんてないんだ。

だからその製品や、部品にとって

最適な材質を検討する必要があるんだよ。

熱処理って難しいんだね。

熱処理って奥深いんだよ。